肩凝りは、頚・肩周囲の筋肉(僧帽筋、菱形筋等)の緊張が持続し、疲労がたまり筋肉が固くなることから始まります。最初は頚や肩を動かすと違和感を感じる程度ですが、症状が進むと安静時にも鈍痛を覚えるようになります。デスクワークやモニターを見ながらのキーボード操作等を長時間続けると肩凝りがよく起こります。運動不足や老化により頭の重さを支える頚・肩周囲の筋肉もおとろえても、筋肉が疲労しやすくなり肩凝りが起こりやすくなります。なで肩・猫背等の姿勢の悪さ・側彎等の脊椎異常で不自然に頚や背中が曲がっていたり、左右の筋肉の使い方にアンバランスがある場合にも肩凝りが起こりやすくなります。
なで肩の場合には頚から肩にかけての筋肉が常にストレッチされ緊張が高く、筋肉のポンプ作用(筋肉が伸び縮みし血液を押し流す効果 )が低下するため頚・肩周囲の筋肉が疲労を起こしやすいと言えます。また、肩が下がっているために胸郭(胸の部分)から腕に行く血管・神経が肋骨や一部の筋肉で圧迫され腕のしびれ感や鈍痛が肩凝りとともに起こる場合もあります(胸郭出口症候群)。
猫背では背中が後方に曲がっている(後彎)ために、頭がうつむいた状態になりやすくなります。そのため頚・肩周囲の筋肉は頭を持ち上げるために緊張を続けなければならず、筋疲労が蓄積しやすくなります。
脊椎側彎症のある場合には、左右の筋肉の発達が均等でなく、片側に筋疲労が蓄積しやすく、肩凝りも左右どちらかが強くなる傾向があります。
肩凝りを解消するためには、頚から肩にかけての筋肉を大きく動かし、筋肉のポンプ作用を働かせて血行を良くし、筋肉の栄養状態を良好に保つとともに、筋肉内の不用になった老廃物を押し流すことが大切です。頚を無理に動かすとかえって頚の痛みを増すことがあるため、頚を動かすというより肩を大きく動かすことによって筋肉のポンプを働かせましょう。お風呂にゆっくり入って、血行を良くすることも良いでしょう。運動不足の人では水泳等の肩を動かすスポーツをし、筋力を強化することも大事です。
強い肩凝り、猫背、背すじの曲がっている人は、鍼治療をおすすめします。
また、肩こりを改善する事で脳内の血液循環を改善する事ができますので、学習効率の向上や記憶力減退、うつ症状の改善にも寄与できます。
事実、当治療室に訪れた学生さんが、肩こりを治療した事で成績が飛躍的にアップしたという例もあります。